パーティークリエイター/DJのアフロマンスです。
今日は、大げさな題名をつけましたが、それくらい強い想いを抱いたので、思うことをありのままに書きたいと思います。
1、イベントは、逃げ切り型のビジネスになりうる
イベントは特殊な商売だなと思います。
例えば、モノをつくるメーカーであれば、買ってすぐ壊れたら返品するから、きちんと長く使えるようにしないといけないし、子供が変な使い方をしても怪我をしないようにしたり、細心の注意を払ってモノを作っていかないといけません。また、モノであれば店頭で見て触って確かめて買うこともできます。
例えば、飲食店であれば、ちゃんと値段にあったご飯を提供しないと、どんどん客足が遠のいていくので、これもちゃんと考えて、お客さんが満足するものを提供していかないと商売が成り立たない。また、食べログのような口コミサービスも充実しているので、細かいところまで気が抜けません。
その点、イベントは逃げ切れてしまう商売だな、と思っています。
何が言いたいのかというと、イベントは中身がわからなくてもお金を払うものだということです。結果、参加して思っていたものと違ったり、つまらなかったりしても、基本的に返金はありません。
また、多くのイベントは毎日やるものでもないので、不満を持ったお客さんが「二度と来ない!」と思ってもそこまで困りません。スポット的なものなので、クチコミ・サービスも充実していません。
この流れは、スマホやソーシャルが普及していく中で、より断片的な情報のやりとりが増える傾向にあったり、イベントのニーズが増えている、ある種のイベント・バブルような状況も手伝っています。
極論、話題をつくれれば、中身がともなっていなくても、チケットが売れてしまう時代なのです。
2、だからこそ、しっかりとつくらないといけない
もっとわかりやすく言いましょう。
例えば、年に1回のフェスがあります。
・トイレが少なくてめちゃ並んだって…
・椅子が少なくて全然休めなくたって…
・ご飯がまずくたって…
・運営側の仕切りが悪くたって…
・参加者のマナーが悪くたって…
基本的には、全部イベントに入場してからわかることなので、チケットの売り上げにはほとんど関係ない訳です。また、年に一回であれば、時間をかけて人を集めればいいので、そこで不満を持った人がいても商売的にそこまで大きな影響がない。
ある主催者は思います。
「トイレの数は少なくてもいいんじゃないか?他所のフェスでも並ぶし。経費はなるべく抑えたい。数を半分にしよう。」
特に、最近の新しいイベント主催者は、経験値も少なかったり、資金的にも潤沢でないので、ついついこういう傾向になりがちです。
ただ、こういうことって、本当に影響はないのでしょうか?
僕はそう思いません。
嫌な想いをした人は、そういうイベントには行かないようになるでしょう。
逆に、本当にいい体験ができて、満足したら、クチコミ・サービスがなくても自発的なクチコミにつながるし、友達を誘ってまた行こうとなりますよね。
だから、目には見えないし、アンケートにも現れないけど、内容までしっかりとやっているイベントと、そうでないイベントは徐々に差がついていきます。
僕らイベント主催者は、改めて自分たちのやっていることに問いかけないといけないと思うのです。
「本当に考え抜いているのか、やりきっているのか、もらった金額に見合う価値を提供しているのか。」
これは自分への戒めでもあるし、同じようにイベントを主催している皆さんへの問いかけでもあります。
参加者の皆さんに言いたいことは「あるイベントを嫌いになっても、イベント自体は嫌いにならないでほしい」ということです。
3、それで、ハッピーは増えるのか?
ただ、いざイベントを運営する立場になると、やることがたっっくさんあるため、なかなかそういうところまで頭が回らないものです。
そこで昨日ふとわかりやすい指標を思いつきました。
それは「何のためにやるのか」を考えることです。
・金になるから
・話題になって気持ちいいから
・有名になれるから
よくバンドを始めた理由が「モテたいから」なんて言いますが、物事を始めるきっかけは人それぞれですよね。やっていく内に変わるものですし。
ただ、上記のようなマインドでやっている内は、まだダメなんだろうなと思いました。だって、イベントをしっかり作り込まなくても、お金になってしまうし、話題にもなるし、有名になれたりするからです(一時的に、ですが)。
僕が改めて思うのは「それでハッピーが増えるのか」ということです。いくら儲かっても、いくら話題になっても、参加者やその周りの人が嫌な想いをしたり、ハッピーにならなければ意味がない、と思うのです。
この「ハッピーが増える」という話は面白い視点で、同じようなことをやっても、その視点があるかどうかで指針は大きく変わると思います。
以前、Peatixというチケットサービスの人に聞いた話があります。
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世の中にチケットサービスは数多くあります。
ある新規のチケットサービスは、大きなフェスに営業をかけて、手数料が低いことを武器に、大手のチケットサービスから自社のサービスに移行させることに成功しました。
一方で、Peatixは大きなフェスに営業をかけることにあまり興味がありません。何をやっているかというと、これまで大手のチケットサービスを使えなかったような一般の人(小さな主催者)に声をかけて使ってもらい、いろんな形で応援してます。
商売的には、パーセントのビジネスなので大きなイベントを扱った方が儲かります。なんでそうしないとか、と聞いたときに「世の中のハッピーの総量が増えないから」と言ってました。
既にチケットサービスを使えている大きなイベントを、自社のサービスに乗り代えさせても世の中にはあまり影響はないのです。
一方で、これまでサービスを使えなかった人が使えるようになる、イベントを主催できるようになる、ということは世の中に新しい波を生むということです。
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その話を聞いて、感銘を受けたのを覚えています。
イベントも同じだと思うのです。
世の中に価値を提供していくということは、一人でも多くの人を、自分たちの手でハッピーにしていくということです。
イベントをやるのは本当に大変です。
身にしみてわかります。
でも、何かの判断を下すとき、イベントをつくっていくとき、この視点を改めて念頭においてもらえると、より長く続く、愛されるイベントができるんじゃないかと思います。
参考になれば幸いです。
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