パーティークリエイターのアフロマンスです。
今日は、2015年の年末に手がけた「マグロハウス」を設計したプロセスをまとめてみたいと思います。イベントや、色んな仕掛けをやっている方の参考になれば幸いです。
Q. そもそも、マグロハウスは話題になると思っていたか?
もちろん、バズることを想定して設計しました。
「まぐれハウス」ではありません。
・・・
でも、狙ったら百発百中バズる訳ではないです。ただ、確度がある狙い方はあると思います。大事なのは「思考のプロセス」だと思います。
思い返して、ポイントをあげると、以下の6つです。
1、アイディアの種を考える
2、ワードを開発する
3、情報の設計図を念頭において考える
4、メディア視点で考える
5、参加者視点で考える
6、実現可能性を考える
後ほどお話ししますが、1〜6を順番にやるというよりは、同時併行で考えながら設計していきます。そうすると、自ずとイケてる企画か、イケてない企画か、瞬時に判断がつきます。
とりあえず、わかりやすいと思うので、この順番で説明していきます。
1、アイディアの種を考える
「何か面白い企画を考えましょう。」
そう言われても、どこからどう考えればいいのかわかりませんよね。
色々やり方はあるのですが、まずは肩の力を抜きましょう。
面白いアイディアの種は、意外に身近なところに転がっているものです。
今回でいくと、例えば「年末」に「クラブ」でイベントをやる、というのは決まっていました。そんな中で、年末どんなイベントをやりたいかなぁというのを考えます。(まずは、やりたいことを考えた方がいいです)
年末か・・・
どうせやるならやりたいことをやりたいよなぁ・・・
音楽は、なんだかんだハウスが好きだし、ハウスのイベントをやりたいなぁ・・・
あと、美味しいものとか食べたいなぁ・・・
そんな感じで色んな案を考えている中で、「マグロの解体ショーは?」という話が出ます。ただ、この段階では100案あるうちの小さな1案です。まさにアイディア未満の「アイディアの種」。
ただ、とりあえず、やりたいことには合致しそうだし、「マグロの解体ショー」と「ハウスミュージック」を組み合わせると、なんだか楽しいかもしれない、と思います。
以前から思っていた「スシローのCMにはハウスが合う」という持論とも一致して、なんだかテンションがあがってきます。
2、ワードを開発する
ここは設計の上でかなり大事なポイントだと思っています。
「クラブでマグロの解体ショーをすること」と「マグロハウスというイベントをやること」は、まったく違います。(なので、”既にこういうことをやっている”という指摘はちょっとズレています)
今回の場合でいくと、そこが「企画」であり「クリエイティビティ」なのです。
企画やクリエイティブというと、何かスゴイことや派手なことを考える、ような気がしてしまいます。
例えば「ロボットをつくる!」とか「宇宙にロケットを飛ばす!」とか。一見面白そうなことに思えますが、僕の目からみると「イベントをやる!」とか「映像をつくる!」と言っているのとさほど変わらないし、それだけでは「企画になっていない」ように思います。
大事なのは、どんな内容で、どんなタイミングで、どんな手段でやるのか、何が特筆することなのか、という点であり、それが企画だと思います。
「マグロハウス」という言葉・コンセプトは結構考えました。
マグロEDMではいけないのか?EDMaguroは?
鮪ハウス、まぐろハウス、マグロハウス、どれがいいのか?
体験としての面白さ、テキストで視野に入ったときの読みやすさと違和感のバランス、コンセプチュアルに見え、やりたいことが伝わるのか、また口にしたときの口触り具合など、様々な視点で考えます。
その上で「マグロハウス」は一次予選を通過した訳です。
3、情報の設計図を念頭において考える
仮に「マグロハウス」が面白いイベントだとしましょう。
しかし、そのイベントをあなたはどこで知るのでしょうか?
それを考えていくと、ただ面白いイベントをつくってもしょうがないことに気がつきます。
もっと言うと、僕なんかより面白いイベントをやっている人は全国にたくさんいると思います。ただ、知らないだけなんです。
情報の流れ = 情報の設計図を思い描くのは、今の時代にとても大事です。
いちいち図にする必要はありませんが、慣れないうちは書いて考えるのもありだと思います。
何かしらの手段でお知らせしないといけません。自分や出演者のFacebookやtwitterで投稿する?もちろん、それも立派な手段の一つです。ただ、ものすごい数のフォロアーや友達がいる人ならいいですが、いわゆる普通の人〜ちょっと多い人、くらいだと限界がありますよね。
では、どうするかと言うと、普段つながりのない人に目にしてもらうのがいいでしょう。大きくは2つ、「メディアにとりあげてもらう」か「広告を使う」か、です。
僕は知ってもらうためにあらゆる方法を検討しますが、今回は後者の「広告」は使わなかったので、「メディアにとりあげてもらう」という視点をこの後、書きます。
また、この情報設計図で言いたいことはそれだけではありません。もっと大事なこと。知ってもらうだけではダメだ、ということです。
知ってもらったあとにBUZZ(話題にしてもらうこと)、そして、実際に行きたいと思って足を運んでもらうこと、ここまで動かないと「ちゃんと設計できた」とは言えないのです。ここをさらに後でお話しします。
4、メディア視点で考える
ここ、気になる人は多いでしょう。
でも、よく取り上げてもらっている人ほどわかると思いますが、実はなんでもないことなんです。答えは「あなたが記者だったら、どんな記事が書きやすいですか?」ということです。
メディアによって、記者の考えも違うので全部は語りませんが、わかりやすい所で面白ネタを載せているWEBニュースのライターだとします。
僕がライターだったらこう考えます。
・たくさんPVが稼げそうな面白ネタないかな
・たくさんクリックされたり、RTされるようなネタはないかな
・WEBサイトの見出しの1〜2行でわかりやすく載せられて
・センセーショナルな画像があるといいな
・おまけに季節や催事ネタと合わさると編集会議も通しやすそうだ
簡単に言うと、こういうことを逆算して設計する、ということです。
別にメディアと仲が良いとか、そういうのはありません(笑)
あえて言うと僕の場合は、
・こんなチャレンジなこと言ってるけど、載せて本当に大丈夫かな?
・記事を膨らませるネタになるような要素がないかな
という点で、
「泡パ」や「Slide the City」を手がけるアフロマンスがプロデュース
という部分が活きてきたりして、よく記事の内容にも盛り込まれたりします。メディアのニュースや記事を、そういう視点で読んでいくと、色々ヒントが転がっています。
5、参加者視点で考える
これはメディア等に取り上げてもらっても、話題にならない、遊びに行こうと思わない、ということもある訳です。
なので、この部分も大事です。色々あるので箇条書きでざっくり書きますね。
◎話題にしてもらいやすい設計の視点
・「一言一枚」という言葉で言ったりしますが、twitter等のSNSで一言かつ一枚の写真で面白さが伝わらないと広がりにくい。(逆に言うと、伝えられるかという検証)
・「認知度のバランス」あまりに皆が周知のことだとニュース性が薄く、話題になりにくいし、逆にマニアックすぎても広がりにくい。そのバランス。
・「ツッコミどころ」これはよく言う話ですが、僕は真面目なので苦手です(笑)今回でいくと「なんでマグロとハウス!?」というバズり方が多かったので、コメントを添えてツイートされることも多かったです。
◎参加してもらいやすい設計の視点
・当たり前のことですが、面白いと思われる内容が、参加したい・体験してみたい、と思えることか。(必ずしも、イコールではない)
・ユニークさとハードルのバランス。変わっている、非日常体験だと参加してみたいが、ハードルが高すぎると参加率も当然落ちる。
・疎かになりがちですが、基本的なイベント情報も大事です。料金がいくらか、会場がどこか、時間が何時からか、そういう部分もきちんと考えましょう。
こういう企画を考えていくと、当たり前の「参加してもらう視点」が抜けがちで、エゴな企画になったりするので、気をつけましょう。
6、実現可能性で考える
そして、一番最後、一番大事です。
何かをやろうとするときには、特にイベントは、ちゃんとやれるの?という話があります。楽しい企画はこれと常ににらめっこする必要があります。
・予算にはまるのか
・期間的に可能なのか
・物理的に可能なのか
・会場や出演者は問題ないのか
・参加者は大丈夫なのか(リスクヘッジなど)
・実際にやって楽しいのか(これは最終的にやってみないとわかりませんが、自分である程度のアウトプットを考えてくことはとても大事です)
これはイベントをやっていると思うのですが、写真や映像作品とかなら編集でごまかしたり、CGを使ったり、、などできますし、演者の人が多少我慢すればいい、なんてこともありますが、イベントだとまったく知らない一般の人が参加したりすることまで想定すると、特に重要な要素になってきます。
これがハマらなければ、これまでの設計ができていても、実施には至りません。
最後に
わかりやすく伝えるために1〜6を考えるプロセスのように説明しましたが、冒頭でも伝えたように、これは同時に考える内容です。
また、常に行ったり来たりしながら、「これは面白いけど、実現可能なのか?」とか「話題になりそうだけど、ちゃんと参加したいと思うか」とか、何回も反芻して企画を練っていきます。
面白い企画が思いついても、誰にも知ってもらえないようでは成立しないし、実現可能性がないのであればこだわってもしょうがありません。だから、この上で出した企画って、針の穴を通すような感覚なんです。
そんな過程を経て世に出しても、それがちゃんとワークするかはやってみないとわからないんですけどね。
ただ、こういう複数の視点を踏まえて企画を見ると、面白い企画をうまく世の中に伝えたり、より多くの人に体験してもらう手助けになるかなと思います。
たまたま、ではなく、練って考えた企画がうまく反応してもらえたり、実際にイベントに参加した人の声を聞くと、感無量です。
ぜひ、参考にしてみてください。
マグロハウス・ムービーレポート
マグロハウス公式サイト
http://afroand.co/magurohouse/
世の中に、もっとワクワクを。
アフロマンス